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復職するも、無気力な日々が続く
Aさんは処方された薬を服用し、治療を続けていきました。初期には眠れなくなり、状態は悪化していったと言います。仕事では順調に成果を上げていたのに、頑張りすぎたのがいけなかったのか、どうして自分がこんなことになってしまったのかと、思い悩む日が続きました。そして、6か月の予定だった休職を延長することになりました。
結果的には8か月の休職でなんとか回復のめどが立ち、その後復職までたどりつきました。しかし、職場に戻ってみたものの、以前と同じ仕事はできませんでした。また頑張りすぎて同じことになってしまうのではないかと、怖かったからです。Aさんは希望して、以前の仕事からは外してもらいました。
復職しても、なぜかやる気が出ない日々が続きました。仕事を頑張ろうとは思うのです。怠ける性格でもないし、きちんとやりたいと。しかし、職場の人とは以前のようには関われない感じがしています。壁を感じてしまうし、自分でも壁を作ってしまっているのに気がついています。でも、その壁は壊せません。
復職してからも薬はちゃんと飲み続けているし、カウンセリングも受けています。自分の育ちから振り返って、自分の性格傾向も行動のパターンも分析できるようになってきました。近年注目されている治療法である、認知行動療法も、少しずつ身につきつつあるとも感じています。それでも、なぜか身体にエネルギーが満ちてこない感じがするのです。
新しい世界に出会う
何か今までと違うことにトライしてみようと、友達が誘ってくれたタイミングで釣りに出かけてみました。海に釣り糸を垂れる。それだけのことなのに、不思議と楽しい気分でした。釣れることもうれしいけれど、海に釣り糸を垂れること自体が楽しい。Aさんは、まるで釣糸を通して海からエネルギーが満たされるような気がしました。
以来、Aさんはすっかり釣りにはまってしまい、釣りのサークルにも入ったとのこと。そこでの新しい人間関係も新鮮に感じています。休みの日に朝早く出発し、海に向かう。今まで、自分の中で満たされなかった部分に、栄養が届いているような気がするそうです。仕事よりも釣りを優先させないようにと気をつけなければいけないほどで、いつの間にか、気づけば仕事も苦痛ではなくなっていたと言います。
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