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「シリアスゲーム」としてのゲームの効用
同様の研究は国内にもあります。日本デジタルゲーム学会会長で東京大学大学院の馬場章教授は、高校の西洋史教育にオンラインゲームやMMORPGを用いた、教育へのデジタルゲーム利用の研究で知られる人物です。
単にエンターテインメントだけではない、それ以外の、それ以上の目的や効果を持つデジタルゲームを「シリアスゲーム」と呼びます。馬場教授は、シリアスゲームの教育への導入によって、学習意欲やモチベーション、記憶の定着とその効率、世界観や歴史観の形成など、さまざまな教育効果が上がっていると述べています。
デジタルゲームと生産的につき合う
こうなると、ゲームをすることもあながち「時間の無駄使い」とばかりは言えません。むしろ、脳を活性化させるという意味で、ポジティブな効果も十分にあると言えるでしょう。
一方で、「ネトゲ廃人」と呼ばれるような、行為依存症的な状態にハマってしまう、ゲームのもたらす病理性が社会問題になっているのも確かです。しかし、何ごとも行き過ぎれば害になってしまうのは、ゲームに限ったことではありません。
上記のような研究結果は、大人として分別と目的を持ってゲームに臨めば、さまざまな効用に出会うことができることを示唆しているのではないでしょうか。将来的には、ビジネススキル向上の一環として、ゲームが取り入れられる日が来るかもしれませんね。
執筆:山本 恵一(心理学者、メンタルヘルスライター)
監修:岡本 良平(医師)
<参考>
●アメリカ心理学会『Video game play may provide learning, health, social benefits, review finds』
http://www.apa.org/monitor/2014/02/video-game.aspx
●HUFFPOST TECH『Gamers Get Ahead in the Workplace』
http://www.huffingtonpost.co.uk/dr-savvas-papagiannidis/gaming-workplace-gamers-get-ahead-in-the-w_b_1912493.html
●日本デジタルゲーム学会『テレビゲームへの正しい理解を』
http://research.cesa.or.jp/interview/baba02.html
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