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「新物は栄養価が高い」とは限らない
食材に含まれる栄養素は、時間が経つと変化するものとそうでないものがあり、一概に「新物だから栄養価が高い」ということではありません。含まれる栄養素も味わいも、それぞれに特徴があります。
新茶は苦みや渋みが弱く、旨みや甘みが多く美味しいと言われます。お茶の新芽には、お茶の旨味成分であるテアニンが豊富に含まれ、渋味成分であるタンニンが少ないためです。日光を浴びることにより、テアニンが渋味成分のタンニンに変化するため、二番茶、三番茶になるにつれて、テアニンは減少し、渋み成分のタンニンが多くなっていきます。テアニンにはリラックス効果があります。また、タンニンの一種であるカテキンには抗菌作用や抗酸化作用があり、どちらもそれぞれの特徴を持っています。
一方、新米の方は栄養価に違いはほとんどありません。栽培して時間が経っていない新米は水分量が多いため、柔らかさや粘りの強さ、炊きあがりの白さ、冷めても変わらない甘みなどが特徴です。それに対して古米は水分量が少ないため寿司酢の浸透がよいので、寿司飯には古米のほうが好まれて使われることが多いのです。
食材の状態によって調理法や食べ方を変えるという発想には、和食の繊細さが伺えます。
新米の時期である秋には、ご飯に合う旬の食材が増えるように、「初物」ならではの味わいを楽しむことが最大の特徴です。
初物の味を知り、自分好みの時期を知ることも、人生の楽しみとなるのではないでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導
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