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執筆:玉井 仁(メンタルヘルスライター)
「ストレス」という言葉は、いま日本で最も使われている外来語だという説もあります。
本当かどうかはともかく、それだけ状況を整理するのに便利な言葉であることは確かでしょう。ストレスと単語にはネガティブなイメージがあり、極力排除することが望ましいと思いがちです。
しかし、実はストレスは常に悪者というわけではなく、ポジティブな側面もあるのです。
嫌な刺激(ストレス)でもないよりはまし?
ストレスという言葉の利用は、カナダ人の生理学者、セリエ・ハンスの研究から始まっています。
そして、ストレスという言葉に対して多くの人が抱くイメージは、「心身に対するネガティブな負荷」といったところでしょう。「○○はストレスだ」という言葉は、「○○は嫌だ」と言っているのとほぼ同じなわけです。
ストレスは、私たちにとって本当にマイナスなものでしかないのでしょうか?
ストレスがまったくないと、どうなるのでしょうか。
過去に行われた実験で興味深いものがあります。
現代では許されないでしょうが、「無感覚実験」と呼ばれているものです。五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・身体感覚)のすべてに対して、生命維持に関わるものを除き、可能な限り一切の刺激を与えないような状況に置くと、人はどうなるのか、というものでした。
この実験では、外部からの刺激が断たれた時に、人は内部で刺激を作り出すことがわかりました。つまり、幻覚などを見始めたのです。
このことは、私たちは何らかの刺激を求めており、「刺激がない=リラックス状態」とは必ずしも言えないことを示唆しています。
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