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退職金の代わりを今から準備しよう
退職金は、長く勤めた従業員に対する後払い賃金として広く知られている制度です。しかし、この制度は法定制度として会社を拘束するものではなく、制度として導入するか・否かは、あくまでその会社の任意の制度に過ぎません。
退職給付制度のない会社にお勤めの場合、老後資金を「公的年金だけに頼る」のは、危険かもしれません。そのために自ら退職後の資金としてお金を準備しておきましょう。
「自分退職金」4つの作り方
1.財形年金貯蓄(財形貯蓄制度がある会社にお勤めの場合に限る)
特徴:給与・ボーナス天引き、積立額は任意で設定可、利子非課税(一定の条件を満たす必要あり)、元本保証
注意点:勤め先が必ずしも財形貯蓄制度を導入しているとは限らない。現状では低金利のため利子非課税特典はメリットが小さい
2.預金等の自動積立
特徴:ほぼすべての銀行で取扱がある。決まった日に定めた額の積立(毎月・ボーナス時など)、元本保証
注意点:低金利で元本が増えない。利子は課税される。途中引き出しに一定の制約がある
3.年金保険
特徴:設定した年齢になると年金、または一時金が受け取れる
注意点:契約時の金利が長期間適用されて将来金利が上昇局面になると不利。途中解約はもっと不利
4.個人型確定拠出型年金(自営業または企業年金のない会社に勤めている場合に限る)
特徴:掛け金は全額所得控除となり、受取時の年金受け取りは公的年金控除・一時金受け取りは退職所得となるため、税金面で有利
注意点:運用結果次第で将来の年金額は変動する(運用結果次第では元本割れの可能性もある。60歳到達時まで引き出し不可
退職給付金制度のない会社にお勤めの場合には、上記の1~4が候補になります。
これ以外にも将来にお金を残すことが目的ですので、例えばNISA口座を用いた投資信託の積立や、退職金専用の銀行預金口座を開設して「都度自力で貯める」方法など継続してできるだけ自分にあった方法を選択しましょう。
お勧めは、4の個人型確定拠出型年金です。
運用結果次第という弱点はあるものの、運用商品を利率が低い元本確保型商品だけにしたとしても、掛け金の所得控除を勘案すると相当有利になります。但し、掛け金の所得控除分は毎年の年末調整や確定申告により税負担が軽減されるに過ぎず、退職金が増えるわけではありませんので誤解のないように。
将来への不安は、今、「出来ること」を「行動する」ことで解消へと導いてくれます。本文では概略のみで詳細まで触れていませんが、それぞれ対策の特徴と注意点をしっかり比べて、今から将来に備えることをお勧めします。
※1 厚労省:平成25年就労条件総合調査結果
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/13/gaiyou04.html
※2 中小企業庁:2015年版 中小企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/PDF/h27_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf
<執筆者プロフィール>
石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)
東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。
東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。
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