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空気に飲まれるという経験もある!
ところで「空気が読める」のは良いことかというと、一概にそうでもないでしょう。
その一つの例は「集団心理」で、雰囲気にのまれて冷静さを失うとか、ムードに影響されて高いけど買っちゃった!などを挙げることができます。もっと古く、太平洋戦争の時代には、「欲しがりません、勝つまでは!」などもありました。
また、高次機能発達障害に分類されるアスペルガー症候群は、別名「シリコンバレー症候群」とも呼ばれています。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスなど、IT産業の革命児たちは、旧い空気が読めなかったから、新しい発見や革新を実行できた好例として有名です。
空気から距離をとれる能力
「空気が読めた」からジ・エンドではありません。
その上で、何かを判断したりアクションをとったりできるようになることが大切です。
そのためには、「共感性」でもって読めた空気をベースに、自分の行為を適応的に決定していく処理能力もまた、欠かせないものとなります。この点を冒頭の『goo辞書』の「空気を読む」の定義は後半部では、「その場で自分が何をすべきか、すべきでないかや、相手のして欲しいこと、して欲しくないことを判断する」としています。
障害なく機能する脳、空気にひたれる共感性、空気から距離をとれる「揺るがない自分」。
これらすべてが整って「空気が読める」ようになるということは、意外と難しいことを人間はやっている、とも言えるでしょう。その意味では、「空気が読めて当たり前」と決めつけない方がよいかもしれませんね。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
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