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難しい問題をはらむ「臓器移植」
移植、とくに臓器移植は多くの難しい問題をはらんでいます。
たとえば、脳死についての法律改正後、脳死臓器提供者は増加していて、1人のドナーから平均4人の患者に臓器が提供されています。その際、ドナー家族は移植の決断をするのですが、自責の念に駆られることがよくあります。
これはおそらく、「脳死を死と受け容れがたい」という心情からではないでしょうか。そんな家族をケアするために、移植コーディネーターがいます。しかし、全国で70名程度と不足しています。
また移植にはこれに伴う医師や移植施設の拡大が必要となります。しかし、不足していて、追いつかないというのが現状のようです。
さらに東日本大震災後、臓器売買などの事件が頻発していること、加えて、脳死判定の難しさ、人工臓器の研究などにより、脳死による臓器移植の研究を、これからどのように進めるべきなのかも議論の的になっています。
アメリカでは「脳死は人の死」とされており、脳死後の臓器提供者が8000人以上います。
一方、日本では120人足らずです。これに対して日本では、「脳死を死と認めない」という心情的な死に対する日本人の考え方も強くあります。
ですから、移植に関しては当面、一気に事態が進展するのは難しいのではないでしょうか。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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