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SNSやインターネットは人を攻撃的にさせる!?-匿名性と群集心理-
インターネットやSNSが持つ特徴のひとつに「匿名性」が挙げられます。
インターネット環境では、基本的には個人の名前や所属などを明かさずに、誰でも情報を発信することができます。これによって個人の発信力は大きくなり、現実世界では出会うはずのなかった人とも情報交換ができるようになりました。
しかし、匿名性はそんな良い面ばかりではなく、攻撃性を高めるマイナスの面も持っています。
電気ショックを用いた実験で、匿名性の高い被験者グループの方が、対象者に電気ショックを与える時間が長くなるという結果が出ているものもあります。
ですから、匿名性の高いインターネットやSNSの世界でも、同じように攻撃的になりやすい可能性があります。
本来、情報を発信したり、誹謗中傷するということは、責任やリスクが伴う行為です。しかし、匿名性の高いインターネットの世界では、そのリスクを負うことなく、人を誹謗中傷することができるため、より一層、攻撃性は高まりやすいといえるのです。
また、インターネットやSNSが攻撃的になりやすい理由のひとつとして「群集心理」が挙げられるでしょう。
群集心理とは、集団でいることで起こる特有の心理状態で、自分だけならあり得ない感情が湧いたり、行動に及んだりすることがあります。よくニュースなどで「デモ隊の暴徒化」を耳にすることがありますね。
これも群集心理によるもので、初めは決められたルールのもとでデモ行進をしていたとしても、集団の力によって公共物を破壊したり、暴力行為に及んでしまうことがあるのです。
インターネットやSNSの中では、対象者を一斉に非難する行為がしばしばみられます(巷ではこのような行為のことを「叩く」と呼んでいるようです)。最初は、ターゲットとなった人の行為のみを取り上げて非難していても、次第に過激な言葉を投げかけたり、ときには存在を否定するような言葉がやりとりされるようなことがありますね。
これも、一種の群集心理によるものといえるでしょう。
インターネットやSNSでの誹謗中傷は、根本的な解決にはなっていない
このように、インターネットやSNSは、人が攻撃的になりやすい条件がそろっているため、フラストレーションを発散する格好の場となっていることが多いようです。
でも、そうした攻撃的行動は、精神的に未熟で、フラストレーション耐性が低いことから引き起こされています。
ですから、一時的なストレス発散になっていたとしても、根本的な解決にはなっているわけではないでしょう。
あなたは、どのようにしてフラストレーションを発散していますか?
気のあう仲間と話す、好きな趣味やスポーツに没頭する、マッサージやアロマを楽しむなど、ストレス解消法はたくさんあります。
自分に合った、他人を傷つけることのない方法で、自分の感情をコントロールできるようになりたいものですね。
【参考】
齊藤 勇『面白いほどよくわかる職場の心理学』西東社、2013年
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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