ひどい関節痛、どうして? じつは種類が様々な関節痛について

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ひどい関節痛、どうして? じつは種類が様々な関節痛について

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関節痛の種類

 
「関節痛」とひとくちにいっても、痛みの現れ方はさまざまです。
 
医師は、病名を診断するときに、患者がどんなときにどのように痛むのか、ということもポイントにします。
 
そのため、次のような痛みの種類があることを知っておくとよいでしょう。
 

自発痛

刺激を加えないのに痛む
 

圧痛

押すと痛む
 
 

運動痛

動かすと痛い
 
 
さらに、1か所の関節が痛む単発性なのか、複数が痛む多発性なのか、片側の関節が痛むのか、左右対称に痛むのか、なども診断する際の重要なポイントとなります。

 
ですから、関節に痛みがあって受診する場合は、これらのことも医師に伝えるようにしましょう。

 
 

関節痛を症状とする病気

 
病気の中には、関節の痛みを初期症状とするものがあります。ご紹介していきましょう。
 

痛風

血液の尿酸値が高くなる状態で、足首、膝などに起こる急性の関節炎です。
 
とくに足の親指の付け根の関節痛が最も多くみられます(患者の7割)。痛風患者の90%以上が男性。
 
発症年齢は、40歳代が多いが、最近では若いうちに発症する人もいます。
 
 

変形性関節症

長い間、膝、股関節、肘、足首、手首などの関節をくり返し使っていたり、ケガをすることなどによって、関節の軟骨がすり減り、骨が変形してしまう病気。
 
初期は軽い痛みですが、変形してくると、動かせないほどの痛みになります。
 
 

化膿性関節炎

関節内に細菌が入り、化膿してしまう病気。
 
手遅れになると関節の軟骨が壊され、骨まで破壊されるので、治療には、緊急性を要します。
 
細菌が関節の中に入る経路としては、おもに次の4つがあります。
 
1.けがや注射などから直接細菌が関節内に入る
2.扁桃腺や尿路感染など、ほかの部位に感染巣(病原微生物が増殖している場所)があり、細菌が血流にのって関節内に入りこむ
3.関節近くで起こった骨髄炎から波及している
4.糖尿病、透析、そのほかの薬物使用によって、抵抗力が落ちている

 
 

骨肉腫

骨にできる悪性腫瘍(がん)。患者の3分の2は、5歳~25歳までに発症します。最初は、膝や肩の関節に近いところから痛みが出ます。ただ、痛みはあまり強くないので、筋肉痛と間違えて放置し、手遅れになることがあります。
 
 

脱臼(だっきゅう)

ケガなどによる外傷性の場合もありますが、生まれつき(先天性)の場合もあります。
 
外傷性では肩関節に多いのですが、先天性で最も多いのは股関節脱臼です。
 
外傷では、肩の痛みが強く、腕は特徴的な位置に固定されてしまい、動かなくなります。外傷性の場合は、次のような種類があります。
 
・関節が完全に外れてしまう脱臼
・亜脱臼(あだっきゅう):一度外れても簡単に戻る
・デッドアーム症候群:数分間腕全体がしびれたようになり、痛みで腕が動かないがその後は徐々に動くようになる

 

膠原病(こうげんびょう)

 
全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症がみられる病気の総称です。
 
膠原病に当てはまる病気はいくつかありますが、共通の症状として、原因不明の発熱、湿疹、関節痛が挙げられます。
 
若い女性に多く、自己免疫疾患(※1)、結合組織疾患(※2)などが重なりあった疾患と言えます。
 
膠原病に該当する病気の共通点は、下記です。
 
・関節や筋肉に痛みがある
・免疫の異常がある
・抗生物質は効かない
・ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)は効果がある

 
※1:自己免疫疾患とは
人間の身体には、免疫という自分の身体にないものを排除する防衛機能が備わっています。この免疫のしくみが狂ってしまい、自分の身体に攻撃をしてしまう病気のことを「自己免疫疾患」といいます。
例)関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなど
 
※2:結合組織疾患とは
結合組織の中でも、とくに骨・腱(けん)・靭帯(じんたい)などに多く含まれる膠原繊維に異常が起こる疾患。
例)シェーグレン症候群、多発性筋炎など
 
 
ここまでご紹介したように、関節が痛いときは病気が原因となっていることもあります。
 
ですから、自分の判断で痛みを放置せずに、まずは整形外科を受診しましょう。
 
関節痛のほかに一緒に起こる症状(腫れ、運動障害、強直、変形、その他)がないか確認し、受診の際に医師に伝えましょう。

 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

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