(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
気管が過敏だとむせる
熱い食べ物を食べたときにむせることが多い場合には、気道が過敏になっている可能性があります。
熱い食べものを口に取り込む際、食べ物と一緒に私たちはその湯気を鼻から吸い込んでいます。
鼻は気道につながっているため、吸い込まれた湯気は気道に到達します。
このとき、気道が過敏になっていると、気道が湯気に反応して息苦しさを感じたり、むせることがあります。
それでは、気道が過敏になっているとはどういう状態を指すのでしょうか?
口や鼻から吸い込んだ空気の通り道である気道は、口や鼻を通り、気管、気管支へとつながっています。
気道は粘膜で覆われています。
何らかの原因によって気道に炎症が起こると、粘膜の分泌物が増えて粘膜がむくんだり、粘膜の外側を覆っている筋肉が収縮するため、気道が細くなります。
気道が細くなると、熱さ、冷たさ、ホコリ、タバコの煙などのちょっとした刺激にも反応して、むせたり、咳き込みやすくなります。
病気の症状としてむせることも
ここまでむせる理由についてお話をしてきました。
先にお話をしたように、食べ物の食べ方や気道の状態によっては、健康な人でもむせることはあります。
ただ、最近その回数が増えた、という場合には、病気の症状としてむせている可能性があります。
「むせる」ことを症状とする病気には次のようなものがあげられます。
嚥下の障害
・口やのどの病気
舌や口腔内、のどなどに炎症があると、炎症部分や腫瘍が食塊の通り道の妨げとなって、嚥下のしくみに支障をきたすことがあります。すると、食道への通り道が阻害され、誤嚥が起こってむせやすくなります。
例:舌炎、口内炎、扁桃炎、咽頭炎、食道炎、食道がん、舌がんなど
・身体の機能的な病気
脳や神経などの病気では、のどや口腔内の機能が低下して食塊を送り出すスピードが落ち、のどにつかえやすくなったり、むせることがあります。
例:脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、パーキンソン病、筋委縮症(きんいしゅくしょう)など
・精神的な病気
自律神経には身体の機能を調節する働きがあり、気道や唾液の分泌など、嚥下にかかわる機能も影響を受けています。
ストレスなどで自律神経のバランスが崩れることで、のどのつかえや飲み込みにくさといった症状が現れ、むせることがあります。
例:自律神経失調症、心身症など
これらの病気以外にも、加齢による、のどの筋力が落ちるなどで嚥下の機能が弱くなり、食べ物がのどにつかえやすくなったり、むせやすくなったりします。
誤嚥が起こりやすくなると、食塊や水分とともにウィルスも気管や気管支に侵入しやすくなるため、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクが高まります。
気道の過敏性が関係する病気:喘息
気道が過敏になると、むせることがあるとお話をしましたが、気道の過敏性が高くなる病気があります。
それは、「喘息(ぜんそく)」です。
喘息になると、気道の過敏性が高くなってちょっとした刺激で気道の収縮やそれによる発作が起こりやすくなります。
また、蚊取り線香や熱さ・冷たさといった刺激にも反応し、むせやすくなることがあります。
このように、むせることに関係した病気はいくつもあります。
「最近、むせることが多くなったな」と感じるときは、自分がどんな場面でむせているのか、チェックしてみましょう。
たとえば、熱い食べ物を食べるときにむせることが多いのであれば、1度に口に入れる量を調整するなど、まずは食べ方を工夫してみましょう。
それでも症状が改善されない場合には、先ほどご紹介した病気が関係している可能性も否定できません。
気になるときは病院を受診しましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
スポンサーリンク