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飲料水として広がる炭酸飲料水
日本ではこれまで、炭酸水といえばおもにお酒の割り材という位置づけだったのですが、お伝えしたように健康やダイエット、美容への効果が明らかになり人々の注目を集めることとなりました。
欧米では従来から発泡性のある湧水を「ミネラルウォーター」として愛飲していました。
海外メーカーが日本を新たな市場にしようと開拓した成果も、炭酸水が日本の一般家庭に広がる要因になったと考えられます。
現在では、「天然炭酸水」「天然水炭酸水」「人工炭酸水」が販売されています。
天然炭酸水はもともと炭酸が含まれている天然水。
天然水炭酸水は天然水に炭酸を加えたもの、人工炭酸水は純水に炭酸を加えて人工的に作られた炭酸水です。
炭酸水を選ぶときに着目する点は、炭酸の強さ(二酸化炭素の含有量)と水の硬度である場合が多いようです。
炭酸に慣れていない人は弱いもの、爽快感を楽しみたい人は強いものを選ぶとよいでしょう。
一方、水の硬度は含まれるミネラル成分によって決まります。
水1リットルに溶けているカルシウムとマグネシウムの量について、次のような定式があります。
<硬度=(カルシウム量mg/ℓ×2.5)+(マグネシウム量mg/ℓ×4.1)>
硬度の分類にはいくつかの概念があり、WHO(世界保健機構)による分類は次の通りです。
軟 水:0~60mg/ℓ以下
中硬水:60~120mg/ℓ未満
硬 水:120~180mg/ℓ未満
超硬水:180mg/ℓ以上
日本においては、WHOの分類に準ずるか、100mg/ℓ以下を軟水、100mg/ℓ以上を硬水とすることが多いようです。
清涼飲料水と無糖炭酸水
水と二酸化炭素だけで糖質を一切含まない炭酸水が「無糖炭酸水」です。
一方、サイダーやコーラなどは、炭酸水に砂糖・酸味料・甘味料・香料・保存料・カフェインなどを加えた清涼飲料水です。
たとえば、糖質を摂り過ぎると血糖値を急上昇させてしまいます。
ですから、こうした清涼飲料水を一度にたくさん飲むとペットボトル症候群(※)になるとして懸念されています。
また、甘味料のアステルパームは、大量飲用によって神経や脳に悪影響を与えることも知られています。
さらに、着色料などのなかには発がん性が疑われる成分もあります。
このように、清涼飲料水はさまざまな問題点が指摘されているのに対して、無糖炭酸飲料は水と炭酸だけ、あるいはフレーバー(香料)やナトリウムが加えられたものなどもありますが、過剰に飲みすぎない限り健康被害をもたらす影響はないとされています。
※厚生労働省e-ヘルスネット『嗜好飲料(アルコール飲料を除く)』(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-014.html)
しかしながら、問題点のある清涼飲料水と混同されているのか、「骨を弱くする」「歯のエナメル質を溶かす」などの声も聞かれます。
この点について、米国ボストンに在住する内科医の大西睦子医師は「(無糖)炭酸水による身体への影響はほとんどなく、基本的には水の代用としても活用できる」とコメントしています。
もちろん、炭酸水を飲むと気泡が胃や腸を刺激するので、逆流性食道炎、過敏性大腸炎、胃潰瘍など胃や消化管に不調や疾患がある人は控える必要があります。
健康な人は水と同じように飲んでも構いませんので、日常における水分補給はもとより、ダイエット中の空腹感の緩和や休肝日のお酒の代用など「物足りなさを補う水分補給」として、無糖炭酸水を活用してみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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