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執筆:山本ともよ(管理栄養士)
今回は、 脂質の効果 についてご紹介します。
人間の味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つが知られていますが、第6の味覚として「脂(あぶら)味」の存在を示唆する米パデュー大学の研究チームの論文が、学術誌「Chemical Senses」(Oleogustus: The Unique Taste of Fat)に発表されたことが報じられています。
『味覚』として認められるには、口の味覚細胞に受容体があることを証明する必要があります。
この研究はまだそこまでは至っていませんが、なかなか興味深い内容ですよね。
脂に対しての味覚が存在するかはさておき、脂肪が美味しさを左右する食品は、明らかに世の中に溢れています。
なぜ私たちは脂が使われている食品をおいしいと感じるのでしょうか。また、健康面ではこうした「脂質」は敵外視されがちですが、まったく排除してしまったら、健康にどんな影響を及ぼすのでしょうか。
詳しくご紹介しましょう。
脂質の効果 :油脂は素材との組み合わせが重要!?
あぶらには「油」と「脂」があります。一般的に、常温で液体のものを油、固体のものを脂と表記して区別し、総称するときには油脂類、脂質などとしています。
マグロや牛肉、木の実など、素材そのものに含まれている油脂のほかに、私たちは、炒める、焼く、揚げる、和えるなど、調理で油脂を使っておいしさを引き出しています。
いずれも、油脂だけを食べたりなめたりしても、あまり味は感じません。
もし脂味というものがあったとして、既存の5つの「味覚」とハッキリ違う点はここでしょう。油脂は、多くの場合、炭水化物やたんぱく質といっしょにとるからこその「味わい」や「おいしさ」のように思えます。
例えば、揚げ物は、素材と衣、揚げ油との間で水と油の交換を起こし、水分を蒸発させて逆に油を揚げ物に吸収させています。
素材の脱水を多くして、よりカラッと仕上げたい場合は衣はつけず、食材の持ち味(柔らかさやジューシーさなど)を活かしたい場合は、脱水を防ぐために衣をつけて揚げているのです。
炒め物に油を使うのも同様で、油を食材の表面にまとわせて脱水を防ぐと、素材の風味や歯ごたえが残り、なめらかな口当たりにもなるためおいしく感じます。
油は素材の「甘み」や「旨味」といった味覚を『引き立てる』役割をしていると言えるでしょう。
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