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執筆:阿佐木 ユウ(フリーライター)
2015年12月初旬に、国内の菓子メーカーが一部製品の容器にカビが付着していたとして、出荷済みの製品およそ170万パックを自主回収するという事態が起こりました。
このケースでは、製品に異常を感じた消費者からおよそ100件の報告が寄せられていたそうですが、いまのところ健康被害の情報はありません。
食品にカビが生えることがしばしばあります。「カビが付いても、その部分を削り取れば食べられる」と言う人もいますが、実際はどうなのでしょうか?
カビが放出する数百種類の毒
結論から言うと、カビを削っても基本的に食べるのはNG。
最大の理由は、数万種類もあるとされるカビの中には、人や動物に対して有害な成分である「カビ毒」を出すものがあるからです。
カビ毒としては現在300種類以上が報告されていますが、食品に付くカビの種類は周囲の環境によって異なる場合も多く、目の前にあるカビがどの種類かは専門家でもすぐには判断がつかないと言われています。
「だから、削り取ればいいでしょ」と思われるかもしれませんが、食品の表面にカビが確認できる場合、すでに内部にまで菌糸が成長していると考えられます。どの程度まで侵食しているかは容易に判断できないうえ、中には目に見えないカビもあります。
「じゃあ、加熱すれば?」という意見もありそうですが、これもやはりダメ。
カビ毒は熱に対して非常に耐性が高く、通常の調理や加工の温度(100〜210℃)や時間(60分以内)では、完全に分解することはできないのです。
カビ毒のある食品を茹でても50〜80%の毒が残り、茹で汁からは10〜15%ほどが検出されると言います。同様に、油で炒めた場合もカビ毒はほとんど減らないことがわかっています。
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