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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
「薬用」という名がつくものに対して、どんなイメージを持っていますか?
“治療効果”のようなイメージでしょうか、それとも“身体に無害なもの”というイメージでしょうか。
今回はこの「薬用」とつくものの意味を解説していきます。
医薬品医療機器等法(旧薬事法)分類
スキンケア用品は、医薬品医療機器等法によって医薬品・医薬部外品・化粧品に分かれています。それぞれをみていきましょう。
医薬品
病気の治療のためのもので、厚生労働省(以下、厚労省)より有効成分の効果が認められている薬品です。
病院で処方されるもの以外にも市販の薬屋さんで購入できる大衆薬もあります。「医薬品」と表示されています。
医薬部外品
効果効能に有効な成分が一定の濃度で配合されたものをいいます。厚労省からの認可を受けるには、エビデンスとなる成分が配合されていなければいけません。
ニキビを防ぐ、ヒビ・アカギレを防ぐ、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐなど、効果を明記することができます。症状がよくなることを強く訴えるものではないのですが、予防の効果が期待できます。
「薬用〇〇」となっていたら、すべて医薬部外品です。そのため、「医薬部外品」と表示されています。
化粧品
医薬品や医薬部外品のように、「有効成分」を記載する必要はなく、効果効能は認可されていないのでパッケージなどに表示することができません。
清潔にする、魅力が増す、健やかに保つなどの目的で使用されるものです。
薬用石鹸とは
薬用石鹸とは上記で説明したとおり、「化粧品」ではなく「医薬部外品」の分類に入ります。薬用石鹸には「肌の殺菌消毒」を目的としたものと、「肌荒れ防止」を目的としたものの2種類があります。
殺菌消毒を目的としたもの
「ベンザルコニウム塩」や「トリクロサン」などが殺菌剤として配合されています。しかし、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)では、2016年9月にトリクロサンなど19成分の入った石鹸を発売禁止としています。
その理由は、トリクロサンなどを含んでいる石鹸の殺菌効果が優れているとはいえず、むしろ免疫系に悪影響を及ぼす可能性がある、というものでした。
日本の厚労省でもこれを受けて、これらの成分を含む薬用石鹸に関し、これらの成分を含有しない製品への切り替えに取り組むよう各会社に要請しています。
「肌荒れ防止」を目的としたもの
消炎剤や保湿剤などが加えられています。
感染防止の点からは、薬用石鹸による殺菌効果を期待せず、除菌のための手洗い方法をきちんとする方が効果的と考えられます。
「薬用=殺菌消毒」と誤解して、逆に手洗いを簡単に済ませてしまうほうがバイ菌が手についたままとなり、危険なのです。
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