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りんご病流行の兆し -拡がる感染に要注意!―

りんご病、聞き覚えはあっても実際にどんな病気なのか、いまいちわからない、という方も多いのではないでしょうか。かわいい名前とは裏腹に、放っておくと身体に大きな影響を与えかねないこの病気。正しい原因や症状を知り、今日から対策を始めましょう。

 

りんご病、そもそもどんな病気?

 

この病気は、頬の両側に紅い発疹がでるという特徴から「リンゴ病」と呼ばれていますが、医学的な正式名は「伝染性紅斑」。ヒトパルボウィルスB19が原因の感染症です。 感染者の多くは乳幼児や子どもで、一度かかれば免疫は一生保持されるため、成人の約半数は免疫を獲得しているとみられています。ヒトパルボウィルスB19は、感染力のやや低いウイルスです。しかし、咳やくしゃみなどによる飛沫で感染するため、インフルエンザと同様に流行が始まると拡大しやすい、という問題があります。2015年は過去10年間で最多の患者数となっており、なんと今年に入っても感染報告は増加傾向にあるのです。

 

りんご病、症状と潜伏期間に要注意!

 

りんご病の症状には、咳や鼻水、鼻づまり、発熱などがあり、初期の風邪症状と似ています。 発熱は微熱程度がほとんどですが、大人の場合は38℃以上の熱がでたり、めまいや吐き気、倦怠感を伴ったりすることもあります。風邪症状から1週間~10日ほど立つと、頬に赤い発疹(紅斑)が出はじめ、次に腕やお腹、太ももなどにも紅斑が現れます。


発疹はほてりや痒みを伴うことがあり、1週間ほどで赤みが一度消えても、3~4週間出たり消えたりする場合もあります。このように、完全に治るまでに長い期間がかかることもあるりんご病ですが、特に注意が必要となるのは潜伏期間です。りんご病の潜伏期間は10~15日ほど。症状は軽い風邪程度のこの時期、実はウイルスの排出量は一番多く、周りの人への感染力は非常に強くなります。


しかし、本人はなかなか気がつかず、実際に頬の紅斑など特徴的な症状が出て「りんご病」と診断される時には、ウイルスの排出量は低下し、感染力も弱くなっています。つまり、知らず知らずのうちにりんご病に感染し、潜伏期間に普段通りの生活を続けていると、家庭や学校、職場などでどんどん感染が広がることにつながってしまいます。


りんご病:治療は基本的に対症療法

このように感染しやすいりんご病ですが、残念ながら予防するワクチンやウイルスそのものに効果のある薬は、まだ開発されていません。 軽い症状であれば自然に治るのを待つことが一般的ですが、広い範囲に紅斑が出ている場合やかゆみが強い場合、発熱が高い場合などは、早めに受診しましょう。


かゆみを伴う紅斑は辛いものですが、掻いてしまうと治りが遅くなるため、適切な塗り薬を処方してもらい症状を抑えることが大切です。また痒みは体温があがると強くなるため、入浴はせずにシャワーですませたり、子どもの場合は出来る限り泣かせない、興奮させないようにする、といった配慮も必要です。 直射日光も刺激となるため、紅斑が消えるまでは外出を控え、やむを得ず外に出る際は帽子をかぶる、長袖を着る、といった対策をとるようにしましょう。


りんご病:とくに気をつけたいのは妊娠中の女性

りんご病は子どもの頃にかかりやすい病気ですが、妊婦が感染した場合、約20%の確率で胎児に影響が及ぶ可能性があります。 お腹の赤ちゃんが感染したからと言って必ずしも先天異常が起こるわけではありませんが、感染した全妊婦の約4%に胎児貧血や胎児水腫が見られたとも報告されており、特に20週以内の胎児に感染すると、流産などのリスクが高まります。


ワクチンはないため、感染を避けるためには予防が第一。特に上の子どもが幼稚園や小学校などに通っている場合は、外からウイルスをもらってくる可能性も高いため、妊娠中の女性だけでなく家族も注意する必要があるのです。ただし、子どもや赤ちゃんは、自分の症状に気付いたり、うまく大人に伝えたりすることが出来ません。初期の風邪症状や皮膚の赤み、湿疹などは、よくあることと過信せず、家族が注意してみてあげましょう。


りんご病予防は、日常生活から

 

最初にもお伝えしたように、りんご病の感染経路は主に、咳やくしゃみなどによる飛沫感染です。 ウイルスが手や喉について身体に入り込むことを防ぐために、まずは普段から手洗い・うがいを徹底しましょう。


りんご病以外の感染症予防にもつながりますので、妊娠中の女性は特に、なるべく人ごみを避けたり、マスクを使用することも大切です。 特に流行している時期には、子どもと食べ物や飲み物を分けあったり、食器を共有することは控えましょう。


一方で、もしもりんご病に感染した時は、周りにうつさないようにする配慮を忘れずに。保育園や幼稚園に通っている子どもの場合は、集団感染を避けるためにも早めに休ませ、自宅で安静に過ごすようにしましょう。日頃から食事のバランスや運動、十分な睡眠の確保にも気を配り、免疫力を高めておくことも大切です。


りんご病:流行の情報には敏感に

りんご病は約5年ごとの周期で流行すると言われています。最近では2007年と2011年に流行があり、2015年は7月に流行のピークを迎えたのち一度減少しましたが、再流行の兆しがみえています。


今年に入っても患者数の増加が報告されており、季節的には春ごろ~7月にかけて患者数が増えると言われるりんご病。2016年は流行のあたり年となる可能性が高いため、より注意が必要です。妊娠中の女性や妊娠を考えている方など、感染が不安な場合は、あらかじめ病院で抗体があるか調べることも可能です。


日頃の生活から感染対策を習慣にすると共に、流行情報には常にアンテナを張り予防につなげていきましょう。

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