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万一、自分や家族がこのような大きな事故に遭い、 頚椎の圧迫骨折 をした場合、私たちはどのように対処すればよいのでしょうか。では、具体的な症状とその後を見ていきましょう。

 頚椎の圧迫骨折 とは



頭と首を支えている頚椎(けいつい)は、胸椎や腰椎に比べると動く範囲が格段に広いのが特徴です。そのため、交通事故や落下事故などで比較的骨折を起こすことが少ないと言われています。 しかし、首に過度な体重がかかると、 頸椎の圧迫骨折 を起こします。こうした事故の場合、頸椎の圧迫骨折だけでなく、骨盤や下肢といった他の部位の骨折や臓器の損傷を伴うこともまれではありません。スポーツで多いのは、ラグビーやアメフト、浅いプールでの飛び込みなど。また、身近なところでは、倒立前転やプロレスごっこなどでも起こる可能性があります。重度の場合、手足が動かなくなる脊髄損傷(せきずいそんしょう)の原因となるのです。

 頚椎の圧迫骨折 :症状は?



頚椎の圧迫骨折 だけで脊髄に損傷がなければ、首の痛みが主症状です。頚椎の前方部分には神経や食道、気管があり、喉や首の付け根の違和感を生じることがあります。 脊髄に損傷を受けた場合、どの部位にどの程度の障害を受けたかで症状は大きく変わります。損傷を受けた部位以下の脊髄が麻痺症状を起こすため、部位が脳に近いほど麻痺する部位は広範囲になります。 程度に関しては、脳からの命令が完全に伝わらなくなって、動きがなくなる「完全型」と、損傷部位に一部機能が残存していて、筋力が弱くなる「不完全型」があります。 運動、知覚機能の障害だけでなく自律神経にも障害が及ぶため、排尿、排便、呼吸、血圧調節機能に障害が生じることがあります。

 頚椎の圧迫骨折 :診断と治療について



頚椎の圧迫骨折 でも軽度のものであれば、レントゲンでもわからないこともあり、CTやMRIで骨挫傷を認めれば、確定診断になります。 神経症状がなく、程度の軽いもの、単純な骨折であれば、おおむね安静にしている「保存療法」が適応となります。次第に痛みは軽減されます。 頸部圧迫骨折の治療は、近年、手術の方法や器具が著しく進歩しています。しかし、脊髄に傷がついた脊髄損傷の治療では、劇的な進歩は得られていません。リハビリテーションがメインとなります。 リハビリは、失われた機能を回復させるのではなく、残された機能をいかに使い日常生活を可能にするかを目指します。このため、脊髄損傷後に残った機能を評価して、これに合わせてリハビリを行っていきます。将来は、iPS細胞による治療も期待されている分野です。



執筆者:南部 洋子(看護師)
監修医:樋口 二三男(医学博士、整形外科医、とらうべ顧問産業医)

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