(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
食中毒の原因と注意点 :夏の味覚・バーベキューでよく使う食材に潜む細菌とは
・牡蠣
冬場が旬の真牡蠣に対して、岩牡蠣は6月~9月がシーズンといわれています。この時期は地域によって天然物の岩牡蠣も楽しめますが、生の牡蠣は「あたる」イメージが強いことから敬遠する人もいるかもしれません。
牡蠣による夏の食中毒は、腸炎ビブリオなどの細菌によって引きおこされるものがほとんどですが、たしかにこうした細菌は加熱することで殺菌できるため、いちばんの予防法はやはり「しっかり火を通すこと」となります。ただし、ノロウイルスは夏場の岩牡蠣よりも、冬場の真牡蠣をはじめとした二枚貝のほうが猛威を奮うと言われています。
・その他の魚介類
また、上記の腸炎ビブリオは、気温が上昇する夏場には海水中で増殖して魚介類に付着するため、魚・貝・ウニなど牡蠣以外の食材にも注意が必要です。
腸炎ビブリオによる食中毒を予防するには、
・食材は調理前にしっかり洗う
・食材の保冷に注意する(生の食材を購入した際は、できるだけ早く冷蔵・冷凍する)
・まな板や包丁を清潔に保つ
といった予防法に加え、出前のお刺身やお寿司は届いたらすぐに食べる(置いておかない)といった対策も大切です。
・肉類
生食用以外の生肉には、食中毒の原因となるO157などの腸管出血性大腸菌が潜んでいる可能性があるため、こうした生肉をつかんだ箸を口に運ぶのは厳禁。「肉を焼くための箸」と「食事用の箸」をキチンと分けることが、食中毒を予防する上では大切です。バーベキューや焼肉の際には、肉を焼くためのトングを用意するのもよいでしょう。また、ひき肉も同様に生の状態ではこうした菌が存在する可能性が高いため、ハンバーグなどを焼く際にも、中までしっかり加熱することが重要です。
・鶏肉
生の鶏肉には、ノロウイルスと並んで食中毒を引き起こすことの多い、カンピロバクターという細菌が潜んでいる可能性があります。カンピロバクターは加熱することで殺菌できるため、鶏肉を調理する際はしっかり火を通すことが大切。料理やバーベキューをするときは、生の鶏肉を調理したまな板・包丁・箸などは、しっかり洗ってから他の食材に使用するようにしましょう。
また、上記の理由から、「とり刺」「とりわさ」といった鶏肉の生食は、よほど信頼のおける店以外では避けたほうが無難かもしれません。これは、カンピロバクターや鶏肉に限らず、腸管出血性大腸菌による食中毒の危険性が指摘されているステーキやローストビーフ、牛タタキといった料理についても同様のことがいえます。
食中毒の原因と注意点 :食中毒発症までの潜伏期間とは
食中毒の潜伏期間は0.5時間~8日間と、原因となる細菌やウイルス、毒性などによって異なります。例えばノロウイルスは、感染から発症までの潜伏期間が約24~48時間です。嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状のピークは1~2日間です。
もし発熱・腹痛・嘔吐・下痢などの症状が出た場合には、市販の薬ですませずに速やかに医療機関を受診しましょう。症状が深刻な場合には意識障害やショック症状を引き起こすケースもあります。
予後は水分をしっかりと摂り、十分な休息を取ることが大切です。症状が治まっても感染の恐れがあるため、集団生活に復帰するタイミングは医師の判断を仰ぎましょう。
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
井澤佑治(いざわ・ゆうじ) 舞踏家/ダンサー。通販メーカーのコピーライターとして、健康食品などの広告を数多く手がけたのちに、ダンサーとして独立。国内外で公演やワークショップ活動を展開しつつ、身体操作や食事療法などさまざまな心身の健康法を探究する。現在はダンスを切り口に、高齢者への体操指導、障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などにも携わっている。
参考資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
(ノロウイルスに関するQ&A 厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049664.html
(食品衛生月間 厚生労働省)
スポンサーリンク