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脂質の効果 :肉の脂そのものに「味」はあるのか?
脂ののったマグロや霜降りの牛肉などはおいしいですよね。
ですが、一般的に、脂肪そのものには味はないので、さし(脂肪)が入りすぎていても肉の味を感じにくくなりおいしさは十分に堪能できない、と言われています。
さし(脂肪)は細かく適度に入っていることが重要です。肉質を柔らかくするほか、グルタミン酸など旨味のもととなる「アミノ酸」が脂肪といっしょに口の中でとろけるように広がることで、おいしく感じます。
じつはこのとき、肉からは、独特の香りが鼻に抜けて脳に達し、おいしさを感じるようになっているのだそうです。この香りは、牛肉のたんぱく質と脂肪、もともと肉に付着している細菌(腐敗菌や食中毒菌ではなく、食用に害はない細菌)、酸素が作用して熟成することによって発します。
霜降りの和牛肉では、この香りがとても強くなるのだとか。私たちが、脂肪に味があると思うのは、今のところこうした経験からだといわれています。
脂質の効果 :脂肪が私たちの健康のために必要な理由
油脂は食材のさまざまなおいしさを引き立てると同時に、人体にとって欠かすことのできないものなのです。たった1gで9kcalにもなるということは、パフォーマンスが高い、最強のエネルギー源といえるでしょう。また、体の神経組織、細胞膜、ホルモンなどの働きに欠かせない成分です。
ではどのくらいとればいいのでしょうか。厚労省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、1歳から成人では、必要なエネルギーの20〜30%を、脂質からとるのがよいといわれています。
植物性の油は体によくて動物性の脂は体に悪い、と思い込んでいる人も多いと思いますが、どちらもある程度とる必要があります。
脂質は、「脂肪酸」でも分類され、このバランスをはかることも大切です。
飽和脂肪酸(動物性脂肪に多い)は必要なエネルギーの7%以下、一価の不飽和脂肪酸(オレイン酸:オリーブ油など)は成人で7~11g、多価の不飽和脂肪酸(n-3系不飽和脂肪酸:魚、えごま油など)を成人で1.6~2.4gとるとよいとされています。
もし過度に脂質を制限した生活を送ると次のような症状に陥る可能性があります。
・エネルギーが不足して疲れやすくなる
・脂溶性のビタミン類(A、D、E、K)が身体に吸収されにくくなる
・免疫能低下
・脳出血(飽和脂肪酸の減少による、予防には乳製品、肉類をよることが推奨されています)
脂質はとり過ぎれば、確かにいろいろな弊害があります。ですが、脂肪の種類とバランスを知って、上手にとれば、ダイエットにも味方となってくれます。おいしく食べることも、減量を続ける秘訣です。
<参考>
「日本人の食事摂取基準」(2015年版)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html
ホクレン
http://www.hokuren.or.jp/dobeef/syokuiku/interview/1_3.html
<執筆者プロフィール>
・山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー。株式会社とらうべにおいて、企業で働く人の食と健康指導、糖尿病などの疾病を持つ人の食生活指導にあたっている
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