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執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
激しい運動をして、とても疲れているはずなのに。なぜか全然寝つけない…。
こんな経験はありませんか?
実は、身体が疲れていても脳が覚醒状態にあると、スムーズに入眠できないことがあります。
どうしてこのようなことが起きるのか、対策とともにご紹介いたします。
入眠のしくみ
まずは入眠のしくみについてご説明していきます。入眠に関係しているのが、身体が持つ「恒常性維持機構」と「体内時計(概日リズム)」という2つのしくみです。
恒常性維持機構
私たちの脳は、起きている間に睡眠物質を分泌し、これが蓄積して睡眠中枢などと反応することで、睡眠が引き起こされています。
これは、身体の状態を調節する「ホメオスタシス(恒常性)」によるものです。専門的にはこのようなしくみのことを「恒常性維持機構」と呼んでいます。
体内時計(概日リズム)
私たちの体内時計に重要な役割を果たしているのが、催眠作用を持つ「メラトニン」というホルモンです。メラトニンは、暗くなるのに従って分泌量が増え、身体を睡眠モードへ導きます。
反対に、明るくなるとメラトニンの分泌量は減り、脳を覚醒させる「セロトニン」が分泌されます。
私たちの体内リズムは、このような脳やホルモンの働きによって、作られているのです。
脳や身体のしくみによってコントロールされている私たちの睡眠。ところが何らかの影響によってこれらの働きが妨げられると、うまく眠りにつけなくなることがあります。
その原因を探ってみましょう。
寝つけない原因はあの生活習慣!?
うまく入眠できないことに大きく関係しているのが生活習慣です。あなたは、こんな生活を送っていませんか?
就寝前にもカフェインの入ったコーヒーやお茶を飲んでいる
コーヒーやお茶などに含まれるカフェインには、睡眠物質と睡眠中枢の反応を妨げる作用があります。また、カフェインは脳を覚醒させる作用も持っています。
ですから、就寝前にカフェインを摂取することは、寝つきを悪くする原因になります。
個人差はありますが、カフェインの効果は、若い人で1~2時間程度、高齢者では4~5時間程度持続するといわれています。ですから、夕方以降にカフェインを摂っている人は、摂取する時間帯を見直すようにしましょう。
また、カフェインレスのコーヒーにしたり、ノンカフェインのお茶などを選ぶのも方法のひとつでしょう。
就寝前に激しい運動をしている
「運動すると、身体が疲れて眠れるはず」と思って、夜にジョギングなどをしている人はいませんか?実は、寝る前の激しい運動は、交感神経(活動時に働く自律神経)を優位にさせ、寝つけない原因となってしまうのです。
就寝前に運動する場合は、激しい運動は控え、軽いストレッチやマッサージなどをして、身体をリラックスさせるように心がけましょう。またジョギングなどの激しい運動をしたい場合には、就寝の3時間前には終わらせるようにします。
熱めのお風呂に入るのが好きだ
体内時計に関連した反応の中でも代表的な生体反応が、深部体温(脳や内臓などの体温)の変化です。深部体温は、睡眠中にかけて降下し、起床~夕方にかけて上昇していきます。
そのため、就寝前に体温が下がりやすいようにすることも寝つきをよくする条件とひとつとなります。
就寝前に熱いお風呂に浸かってしまうと、就寝に向けて深部体温を下げることができなくなり、入眠を妨げることになります。これを防ぐためには、就寝の1~2時間前に、ぬるめのお湯(38~40℃)に15分ほど浸かるのがおすすめです。
眠りにつく直前までスマートフォン(スマホ)を見ている
催眠作用を持つメラトニンは、光に当たることで分泌が抑制されます。そのため、本来分泌量が増加する就寝前の時間帯に、電化製品やスマホなどの強い光を浴びてしまうと、入眠を妨げる原因となります。
眠れないからといって、床に就いた後にもスマホをいじり続けている人はいませんか?かえって寝つけない原因になるので、やめましょう。
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