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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
正視恐怖は「相手の目を見ることができない」という悩みです。
小さい頃から「話すときは相手の目を見なさい」と教わったり、「アイコンタクト」はグローバルなコミュニケーションの基本だとか、わかっているはずなのにできないというのが、この悩みでしょう。
不安障害の症状ともいえる「正視恐怖」、あなたは思い当たりますか?
正視恐怖とは?:対人恐怖のひとつ
対人場面で、相手の目を見て話せなかったり、目のやり場に困ってしまうといった状態に陥るのが「正視恐怖」です。
本人は「自分の視線を相手が変に思うのではないか」と過度に緊張してしまっている場合も少なくありません。
そもそも、相手の目を見るとか、目と目を合わせて交流することは、緊張や勇気をともなう対人行為です。
「まなざし」と呼ばれる相手や自分に直接向けられる視線は、私や相手の核心に入っていこうとする営みでもあるからです。
ですから、じっと目を見て話していたら、自分に好意があるのではないかと相手から誤解されたり、やくざにまなざしを向けると「ガンをつけた」といちゃもんをつけられたりもします。
それでも、自分をわかってもらうため、相手を本当に知りたいからと緊張と勇気を振り絞って、相手にまなざしを届けていくことによって、コミュニケーションや相互理解が起こってくるわけですが、中にはそうした営みに過剰に緊張し、怖くなって、どうしてもできなかったり、あるいは、そんなことをしなければならない対人関係や社会生活に背を向けてしまう人たちもいないではありません。
こうした傾向は、従来から「対人恐怖」と呼ばれてきました。
正視恐怖は対人恐怖のひとつのパタンとみなすことができるでしょう。
また、そうした傾向が重症で、日常生活が成り立たなくなってしまうと、病的な症状として、正視恐怖症と呼べるかもしれません。
ただし、今のところ精神医学では正式な用語ではありません。
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