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乳酸菌とビフィズス菌の違い
乳酸菌とビフィズス菌は、腸内フローラにある善玉菌の代表選手としてその名は広く定着しています。
しかし、違いについては意外と知られていません。
腸内環境を良好に保ち、糖質を分解して乳酸を生成し悪玉菌の増殖を抑制する、という働きが共通していますので、同じ種類の菌のように思われるのでしょう。
両者のおもな違いは次のとおりです。
腸内の数:ビフィズス菌 > 乳酸菌
ビフィズス菌は、乳酸菌の1,000倍は腸内で生活しているといわれています。
参考までに便1グラムあたり乳酸菌は1,000万~1億個、ビフィズス菌は100億個~1,000億個ともいわれています。
ビフィズス菌は多数派、乳酸菌は少数派というわけです。
ビフィズス菌は、赤ちゃんが生まれて間もなくしてから腸内に存在しはじめ、健康な赤ちゃんの腸内フローラの大部分を占めます。
しかし、ビフィズス菌は加齢とともに減少し、中高年から老年期にかけてはさらに拍車がかかり、その分悪玉菌が増殖していきます。
つまり、腸内細菌バランスはビフィズス菌の数に左右されるのです。
腸内環境を良好にするためには、ビフィズス菌をいかに多く保ち続けるかが鍵になります。
酸素に対する性質
乳酸菌はおよそ600種類が確認されています。
そのすべてが、酸素の有無にかかわらず生きられる「通性嫌気性」という性質を持っています。
一方、ビフィズス菌は40種類が確認されており、酸素があるところでは生きていけない「偏性嫌気性」という性質を持っています。
そのため、ビフィズス菌は空気のない「大腸」に、乳酸菌は「大腸」と空気のある「小腸」の両方に生息しています。
ヒトの大腸内での両者の割合は、ビフィズス菌99.9%に対して、乳酸菌0.1%といわれています。
おもな生息場所
ビフィズス菌は、前述の空気を嫌う「嫌気性」や酸に弱いという性質から、おもにヒトや動物の腸管で生息しています。
ですので、たとえばヨーグルトで増殖させるのは難しいとされています。
発酵させることができても、食される前に死んでしまうビフィズス菌も多いのだそうです。
これに対し乳酸菌は、ヒトや動物の腸管のほか乳製品や漬物など一部の発酵食品、そして、土壌や植物にも生息しています。
身体の中でつくりだす成分
乳酸菌もビフィズス菌もブドウ糖を分解して「乳酸」をつくり、腸内を酸性に保ちます。
つくりだす「乳酸」の量は、消費する糖を100としたとき、乳酸菌は5割以上生成するところ、ビフィズス菌は5割以下しか生成できません。
そのかわり、ビフィズス菌は、「乳酸」に加え「酢酸」をつくりだすことができます。
「酢酸」は、悪玉菌を退治する強力な殺菌作用を持っている重要な成分です。
乳酸菌とビフィズス菌の摂りかた
それぞれ性質が異なり、繊細な菌である乳酸菌とビフィズス菌。
効果的に摂取するポイントをおさえておきましょう。
乳酸菌とビフィズス菌を両方摂る
ご説明したとおり、乳酸菌とビフィズス菌は違う菌です。
そして、腸内環境を整えるためには、両者の性質を踏まえどちらも適切に補う必要があります。
継続的に摂る
善玉菌は腸内環境を整えることで健康の維持増進に寄与します。
腸内環境の変化には、ある程度の期間が必要です。
2週間~4週間は継続して摂取してから、その効果を評価するようにしましょう。
水溶性食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂る
腸内の善玉菌が増殖するためには、水溶性食物繊維やオリゴ糖が必要です。
これらを一緒に摂りましょう。
・水溶性食物繊維:ヤマイモ、オクラ、ナメコ、果物、ゴボウ、納豆など
・オリゴ糖:タマネギ、ニンニク、はちみつ、オリゴ糖など
自分の体質にあわせる
乳酸菌やビフィズス菌にはさまざまな種類があります。
どの菌が腸内で増殖しやすいかは、個人差があるといわれています。
同じ製品を継続して摂り続けても変化が見られなければ、別の種類の菌を含む製品に変えて、自分に合ったものを見つけるとよいでしょう。
腸内環境を健康に保つことは、全身を健康に導く近道になります。
乳酸菌とビフィズス菌の性質と効果的な摂りかたを参考にして、今日から美しい腸を目指しましょう。
【参考】
日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会『よくある質問-ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください。-』(http://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_05.shtml)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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