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執筆:井上 愛子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
入院をしていると、「体力が落ちた」「痩せてしまった」ということが多くあります。
しかし、どうして長期入院をすることで痩せてしまうのでしょうか?
詳しくみていきましょう。
安静にしていると痩せる?
入院による体重減少の理由は、次のものが考えられます。
1.病気や手術・治療にともなう食事制限・食欲不振などによって栄養摂取量が減少するため
2.入院生活による活動性の低下から、「廃用性筋萎縮(はいようせいきんいしゅく)」などが進行しているため
食べなければ体重が減ってしまう、というのは、理解しやすいですね。病院では、食欲自体が落ちてしまうのはよくあることです。
では、活動量が減ることで起こる「廃用性筋委縮」とはどのような状態なのでしょうか。
廃用性筋萎縮とは、使われない筋肉が萎縮、つまり減ってしまうことをいいます。病状にもよりますが、入院中は治療による活動の制限があり、安静にするよう指示されることが多いです。また、ベッド上で過ごす時間も多く、活動量も普段の生活と比較して大幅に減ります。
その結果、筋肉が使われないことで筋肉量が減ってしまい、体重が減ってしまうのです。よくダイエットでも、摂取カロリーを減らし身体を動かさなければ、筋力から落ちて体重が減っていきますね。
それでは、筋肉を使わないでいると、どうして筋肉は減っていくのでしょうか?
使わない筋肉はどうして減っていく?
筋肉には内臓などの臓器にある「平滑筋(へいかつきん)」と、身体を動かす「骨格筋(こっかくきん)」の2種類があります。一般的にいう筋肉は、身体の姿勢を保持して身体を動かす「骨格筋」を指します。
この骨格筋は人の身体の中でも最も大きい組織で、構成している成分はタンパク質です。骨格筋量は見た目では大きな変化はみられません。ただ、細胞レベルにおける骨格筋のタンパク質の量は、1日の中で変化しているのです。
1日24時間の中で、タンパク質をつくる「合成」とタンパク質を壊す「分解」が常に行われています。分解を合成が上回れば筋肉量は増え、合成を分解が上回れば、筋肉量は減っていきます。
そして、筋肉を作る合成の刺激になるのが食事(タンパク質の摂取)と運動です。つまり、筋肉を動かさないでいることで、筋肉が合成されず分解が進むので筋肉の量が減っていってしまうのです。
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