うつ病

Mocosuku(もこすく)
  • うつ病

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

うつ病について知っておきたいこととは?

近年、こころの病気は増えていると言われています。ストレスフルな社会環境のせいか、とりわけ「うつ病」が急増しています。厚生労働省の統計によると、日本人の場合、1年間にうつ病にかかる人の割合(有病率)は1〜2%。実数にすると、2008年の時点で約104万人が罹病していることになります。なお、この数字は診断数なので、実際にはもっと多いという説もあります。ここでは、うつ病に関する基本的な知識をおさらいしましょう。

うつ病の基礎知識 : うつ病の症状と特徴

うつ病の発症は10代後半から老年期までと広範囲にわたり、15人に一人は一生のうちに一度はかかるとも言われています。また、女性のほうが男性よりも2倍かかりやすいとする説もあります。2013年に改定された米国精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル 第5版』(DSM-V)では、うつ病は「抑うつ障害群」に分類されています(以前は「気分障害」と呼ばれていました)。うつ病の症状の主なものは、気分が落ち込む、やる気が出ない、イライラする、人に会いたくない、無口になる、食欲がなくなる、頭痛・肩こり、眠れない──など、精神面だけでなく身体面にも現れます。ほかにも、不安感、めまい、関節の痛みなど、人によって症状はさまざまです。

うつ病の基礎知識 : うつ病の人すべてに共通する2つの症状

ただし、どんなタイプでもうつ病患者には次の2つのことが共通しています。1つは意欲の低下です。誰でも落ち込むことはありますが、うつ病の場合、「こころの痛み」を伴った落ち込みが特徴で、これが長時間続きます。もう1つは関心や興味の喪失です。以前は前向きに取り組めたことが面倒くさくなる・楽しめないといったことが起こります。しかも、本人はそれを、「怠けている」「周囲に迷惑をかけて申し訳ない」などと自罰的にとらえてしまうのです。

うつ病の基礎知識 : うつ病の治療に用いる薬

脳内の神経細胞間の隙間(シナプス)には、神経伝達物質と呼ばれる神経細胞の情報を伝達する物質が存在します。うつ病になると、神経伝達物質の中でもモノアミンと総称される「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」が減少してしまうことがわかっています。そこで、最近のうつ病治療では、特にセロトニンの減少をカバーするSSRI(セロトニン選択的再取り込み抑制剤)という薬品が抗うつ剤としてよく使われています。

うつ病の基礎知識 : 現代のうつ病と性格の関係

かつて、うつ病は、病前性格といって遺伝的な性格がうつ病に影響していると見なされていました。例えば、メランコリー親和性と呼ばれる、秩序を重んじ、誠実・忠実で、他人への気配りが良くできる、まじめ人間の典型のような性格タイプ。また、執着性格は、几帳面で、責任感が強く、模範的であろうとし、時に激情するタイプです。このようなタイプの人がうつ病にかかりやすいと考えられていました。しかし、現在ではストレスフルな生活環境の影響によって誰でも発症し得ることがわかっています。そこから、ありふれた病気(common disease)と言われるようにもなりました。うつ病は他人ごとではなく、いつ自分の身に起こるかもしれない病気と言えます。

【うつ病】

うつ病の例 :アラサー女性が乗り越えるまで

うつ病の例 :アラサー女性が乗り越えるまで

厚生労働省が発表した2011年の『患者調査』では、うつ病などで通院している人は95万8000人とされています。病院にかかっていない人も含めれば、100万人を超す人が苦しんでいると考えられます。うつ病が珍しいものでなくなっ...

2015/10/30 13:27掲載

「 職場うつ 」と向き合うためにはどうすればいい?

「 職場うつ 」と向き合うためにはどうすればいい?

「 職場うつ 」の増加が社会問題となっています。うつ病にかかってしまった人の早期回復と社会復帰が重要なのはいうまでもありませんが、一方で、うつ病の蔓延による企業等の生産性低下が懸念されてもいます。この問題について、カナダ...

2015/10/25 11:19掲載

抑うつ状態が原因でパートナーがEDに!? 抗うつ剤の影響は?

抑うつ状態が原因でパートナーがEDに!? 抗うつ剤の影響は?

執筆:Mocosuku編集部 医療監修:岡本 良平(東京医科歯科大学名誉教授) うつ病とED (Erectile Dysfunction)は密接に関係しています。 EDを引き起こす要因として...

2015/09/11 15:33掲載

成績やメンタルの低調から脱け出せない受験生に必要なのは うつ病の治療 かもしれない

成績やメンタルの低調から脱け出せない受験生に必要なのは うつ病の治療 かもしれない

夏休みが明け、受験生はこれから追い込みに入る時期。一方で、この頃から調子を落としていく受験生もいます。一学期のあいだは成績も好調だったのに、二学期になって急にやる気を失い、成績もガクンと落ちてしまう、ということがよくあり...

2015/09/04 14:00掲載

スポンサーリンク

健康と病気

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...