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ただの疲労と侮っていると大変なことになる疾患があります。特に夏場に激しい運動を行った後、強い疲労感や筋肉痛が出ることはめずらしくありませんが、いっこうに回復せず、それどころかますます悪化し、場合によっては命を落とすことさえある……。それは、筋肉が溶ける「 横紋筋融解症 (おうもんきんゆうかいしょう)」です。例えば、マラソンランナーがゴール直前で倒れて死亡し、検査をしてみると 横紋筋融解症 であることが判明する、といったケースがあります。
横紋筋融解症 の症状:血尿が出たら要注意
横紋筋融解症 は横紋筋※とよばれる筋肉の成分が血中に溶け出て腎臓を詰まらせる疾患です。激しい運動で筋肉が破壊されると、筋肉中で酸素を貯蔵する役割を果たすミオグロビンが血中に溶け出ます。ここでいう激しい運動とは、その人にとって負担が大きすぎる運動のことです。トップアスリートのハードトレーニングだけでなく、例えば、慣れない山登りで全身が筋肉痛になった高齢者が 横紋筋融解症 のため意識を失うといったケースがあります。激しい運動のほか、脂質異常症治療薬のスタチンやフィブラート系薬剤の副作用、熱中症、によっても 横紋筋融解症 は生じます。
血中に溶け出たミオグロビンは腎臓を通して尿中に排泄されます。このときの尿は赤い色をした「ミオグロビン尿」となります。特にハードな運動を習慣にしている人は、「よくある血尿」として気に留めない可能性があります。しかし、ミオグロビン尿と血尿を自己判断で区別するのは難しく、仮にミオグロビン尿だった場合、そのまま放置しておくと、腎臓が目詰まりを起こして腎不全に発展することがあります。
※横紋筋というタイプの筋肉は体位を安定させて手足を動かす骨格筋に相当します。これに対し、血管壁や内臓の筋肉は平滑筋というタイプになります。
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