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ストレス環境から生まれる「武者震い」
中村和弘氏(京都大学所属時の研究、現名古屋大学教授)らによるラットを使った実験で、敵に狙われて命の危険にさらされる高度なストレス環境をつくりだしたところ、体温が平熱の37℃から2度も上昇し39℃に達したという結果がでました。
これは、強いストレス環境下で生じた「戦うか、逃げるか」という急性ストレス反応です。
体温を上昇させ身体の動きを最大限にまで高める、生存をかけた現象であると解釈されています。
この体温上昇の反応には、自律神経系の交感神経の働きがかかわっています。
とくに、動物の場合は「立毛筋(りつもうきん)が収縮して毛が立ち、空気の層ができ、体温を逃がさないように作用し、体温上昇に寄与する」のだそうです。
ところが、人間は体毛が少ないため、代わりに骨格筋を震えさせて体温を上げ、身体的なパフォーマンスを向上させているのです。
以上が、中村和弘氏らによる武者震いのメカニズムの仮説(※)です。
アドレナリンの影響(別の見解)
一方、アドレナリンの影響を指摘する別の見解もあります。
ご存知のように、アドレナリンとは、興奮や緊張などにより交感神経が優位になったときに、副腎髄質から分泌される神経伝達物質(ホルモン)です。
このホルモンは、動物が生死の危機にさらされたとき、「闘争」か「逃走」のいずれかを実行するために分泌されます。
いわゆる、踏ん張りどころで分泌されるホルモンなのです。
ですから、臆しているわけではないのに身体が震えてしまう武者震いは、気力がみなぎり緊張状況に立ち向かっていく行為のサインということで、アドレナリンの関与が指摘されるのでしょう。
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