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様々な難病についてご紹介

代謝性疾患、 アミロイドーシスの症状や治療法 についてご紹介します。 ラグビーの元日本代表で、フジテレビのニュースおよびスポーツキャスターとしてもおなじみだった上田昭夫さん(62)が、2015年7月23日午前、亡くなったことが報じられました。今年に入って代謝性疾患「アミロイドーシス」と診断され、闘病を続けてこられたとのこと。オフィシャルブログには、「気温の変化に体が対応できない」として、6月30日に再入院されたことがつづられていました。 「アミロイドーシス」とは聞きなれない病名ですが、どのような病気なのでしょうか。詳しくみてみましょう。

 アミロイドーシスの症状や治療法 :どんな病気なの?



消化管や腎臓などの臓器に「アミロイド」という繊維状の異常蛋白が沈着し、臓器の機能低下や障害を起こす病気です。沈着の程度が少ないと病気の症状は出ませんが、沈着量が多くなるにしたがって、臓器を圧迫し機能を阻害。さまざまな症状を引き起こします。

 アミロイドーシスの症状や治療法 :おもな症状とは?



アミロイドは消化管と腎臓に沈着しやすいため、消化器症状と腎症状がおもなものです。

・消化器症状 吐き気や嘔吐、食欲低下、交替制便通異常(下痢と便秘を繰り返す)、長期間続く下痢、麻痺性腸閉塞(腸がほとんど動かなくなる)、下血など

・腎症状 たんぱく尿、血尿、腎機能低下、腎不全など

そのほかにも、心臓に沈着して、不整脈や心不全を、甲状腺に沈着して甲状腺機能低下症を、副腎への沈着により副腎機能低下などを起こしたりする人もいます。また、身体中のあらゆる臓器に沈着して、全身性アミロイドーシスに移行してしまう人もいます。

ちなみに、脳や脳血管にアミロイドが沈着する疾患として、アルツハイマー病もあります。

 アミロイドーシスの症状や治療法 :診断・治療方法は?



診断には、胃十二指腸、大腸、腎臓、皮膚、小唾液腺などから適切な部位を選択して、生検を行います。

体内へ沈着したアミロイドを取り去る根本的な治療法はないため、多くの場合は対症療法です。病気の進行を食い止めるために、抗がん剤などを使ってアミロイドという異常蛋白を叩き、これ以上連鎖が起こらないようにします。同時にアミロイド蛋白によって阻害を受けている臓器の働きを守り、維持する治療を行います。

たとえば消化器症状により、吐き気や嘔吐で食べられず、難治性の下痢や麻痺性の腸閉塞が生じているときは、しばらく絶食して腸管を安静にし、高カロリー輸液の点滴によって水分と栄養を補います。同時にステロイドの点滴などで腸管の炎症を抑え、機能回復させます。

また、腎機能が低下しているときは、減塩、低たんぱく質の食事療法を行い、血圧をコントロールする必要があります。腎不全が進行して、身体の老廃物や水が排出できなくなったときは、血液透析や腹膜透析が必要になります。

 アミロイドーシスの症状や治療法 :どんな人に多い病気?



関節リウマチ、多発性骨髄腫、長期間の人工透析を受けている人に発生しやすい傾向があり、50代後半~60代に発症年齢のピークがあります。

また、遺伝性のもの(家族性アミロイドーシス)もあり、親から子どもへは、約5割の確率で遺伝し、20代後半〜40代前半で発症することが多いとされています。

いずれも、早期の診断が生命予後を左右する病気です。

監修:坂本 忍(医師)

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